持続可能な発展と環境教育(読まなくていいよ)

環境教育学会 基調講演メモ+補足 (ただ用語をリストアップしただけのスライドを見ながら、早口の講演をメモしたので、不正確な部分が多々あると思います) 講演:植田 和弘 氏 (京都大学) 演題:たぶん、「持続可能な発展と環境教育」(結局何だったんでしょうね) ■持続可能な発展(1) ・World Conservation Strategy (1980) ・ブルントラント委員会(1987)   “Our Common Future”(邦題『地球の未来を守るために』、通称「ブルントラント報告」)で  「持続可能な開発」の概念が出てくる。 ・発達概念の見直し   経済の概念での所得の増大だけではだめ。食生活や社会的な要件も視野に入れる。 ・Developmentとは何?   A.Sen氏は、Development as Freedom、人の自由が増えること。人間の発達と考えた。   しかし、Sen氏の概念には、Sustainableという時間軸がない。 ・Sustainable human development   持続可能な発展と総合社会科学を考える。(学問だけでなく、学問の外から総合的な  形で入ってきた概念である。 ■持続可能な発展(2) ・H.Dayの3原則   1)環境容量      人間活動は自然の持つ性質に適合する範囲で持続可能   2)再生可能資源      再生も、自然ができる範囲で持続可能   3)再生不能資源      再生できない資源もある。(?) ・P.Dasguptaの持続可能な発展論(経済学)   持続可能な発展の定義は、生活の質の発展である。   生活の質とは、構成要素と決定要因からなる。    構成要素は幸せか?健康か?自由か?ということ。    決定要因とは、構成要素を支えるもの。資本資産と言っても良い。   だが、資本資産があっても、それを浪費する社会もあることから、持続可能であるため  には、資本資産と制度が重要である。 ・processとoutcome(これは最後までわからなかった)★ ■グローバリゼーション ・Stiglitz(2006)   経済のグローバル化は、格差問題と地球環境問題を生み出しているとした。 ■持続可能な都市 ・EUは、グローバルとナショナルの中間に位置する。 ・そこでのSD戦略(たぶんSustainable Development戦略)はローカルな持続可能性。 ・フライブルクは、アメニティとエコロジーと融合させた。脱自動車の街を実現。 ・政策目標の決定過程と社会的持続可能性は、人々がみんなコミットし、排除されない  ということが条件になる。 ・公共的討議の場の意義と可能性   市民の生活の質を持続的に向上するために、それぞれの都市で自分たちのことは  自分たちで決める。そしてその討議はどこでもなされるべきだし、誰でもすべき。平等。 ■持続可能な地域社会 ・持続可能性と生活の質 生活の質=Well Being(良き生、福祉) ・創造性のある産業と地域   たとえば、二酸化炭素を減らすことは、もう省エネではできない。だとすると、創造性  にあふれる技術のイノベーション、そして社会のイノベーションが必要。CO2は80%減。 ・地域の資本資産を活用する制度的厚みが必要 ・持続可能な発展の環境ガバナンスを作る ・誰がどのように進めるのか。「SD人材」をどのようにして作るか。 ・コミュニケーションと公共的討議が重要になる。 ・学習する組織が問題になっているが、学習する地域を目指すべき。 ■持続可能な発展と環境教育 ・持続可能な発展のprocessとoutcome ・環境持続可能性と実現プロセス ・公害の経験と教訓を活かしながら地域の再生をはかる ・地球環境時代のコミュニケーション(他の生物とも。また、まだ見ぬ将来世代とも) ・エコロジー、アメニティの価値と倫理 ・コミュニケーションと情報・知識・体験 ・環境ガバナンス Human Development ・民主主義 分権・参加・自治 ・制度的基盤 情報・教育・学習権 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー パネリスト講演1 縁者:千賀(せんが)裕太郎氏(東京農工大学) 演題:「地域におけるサスティナビリティとは」 ・日本での持続可能な開発の主戦場は農村になるだろう。 ・地域計画学が専門 ・地域における持続可能型システムの創造的再生の試み ・地域社会が、自己保存機能を有することが「健全な地域」である。 ・「新陳代謝」「自律性」「恒常性」を持つ。 ・ずっと続いてきた健全な地域が、たった50年で消滅したり危機に瀕しているのはおかしい。 ・地域の主体は人間個人であり、人間集団である。 ・その有機性を取り戻す試みをしている地域を紹介する。 1)菜の花プロジェクト(今では全国に100箇所以上もある)   菜の花を植えて油をとり、利用後に集めて再利用するプロジェクト   1)10工程で物質を動かしている。   2)10年かかって創生した。     1期:廃食油を集めて手作りリサイクル石けん作製     2期:BDF(廃食油からディーゼルエンジンオイルを精製し利用     3期:エネルギー作物としての菜の花の栽培  ・インベントリ図を描く(あとで勉強すること)★  ・金銭上はペイしていない。ただ、報道コストを入れるとプラスになっている。  ・ペイしていないのになぜ持続的と言えるのかというと、参加者の動機が多様だから。 2)山形県長井市レインボープラン   http://lavo.jp/rainbow/   生ゴミを出すまちの市民と、堆肥を活用し作物を作る村の市民とをつなぐレインボー  プラン作物の直売所;「虹の駅」。店を運営。   菅野さんが事務局長。9工程に25の主体が関わっている。 3)建具職人らによる協同組合ウッドワーク   http://www.woodwork.or.jp/   間伐材の製品化 ・地域における建具職人の再定義 ・家具材の再定義(固かろうがやわらかかろうが) ・間伐材の商品化 ・都市住民との再結合 ・環境行動 ・地域間ビジネスモデル ・これらの活動はどこでもできるのか。 ・グローバリゼーション(新自由主義)は、金を得られないと動かない人間を作り出した。 ・が、そうでない人がこれらをやっている。 ・そういう人を、政府政策はサポートしているだろうか。 ・「競争」と「協働・共生」の狭間で右往左往している人々が多い。 ・「生活の質」を重視する価値観を育てる。 ・「知識」から「態度」へ ・足元へ価値観を置く ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー パネリスト講演2 縁者:三上一幸氏(宮城教育大学) 省略(すみません) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー パネルディスカッション 会場からの質問: 1)地域とはどこまでを指すのか 2)地域の持続可能性を追求すれば、世界の持続可能性が実現するのか 3)持続可能性より維持可能性のほうが良いのでは? 植田先生の答え: 3)維持可能性は、経済学ならそう言うだろうが、エコロジーでは未知のものが多いので  「維持」では無理。まだ何があるかわからない、という意味で、ダイナミズムの中で、  現象を見ていきたいので、当面は「持続可能性」を使いたい。  ちなみに、SustainableとDevelopmentは相反する。 2)それは集計問題である。   グローバルサスティナビリティは、別に追求すべき。でも、そういう感覚をどのように  身に付けるかというと、地域での実モデルが必要。それはコミュニケーションを広げる  ために必要。   東京の食べ物のほとんどは日本以外の国から来ている。ローカルの持続可能性は  ローカルでは閉じられない現実がある。   持続可能大臣を置いている国がけっこうあるのに、日本は遅れている。 1)地域とは、いろいろあって良い。都市と農村が一緒でもいい。そのローカルな単位の  作り方も大切なことである。地球市民の発想で、単位を考えていくと良いのでは?   ちなみに、現代は、生活圏と経済圏と文化圏が一致しなくなってしまっている。   日本では環境の持続可能性を考えているが、実はポーランドでは、文化の持続可能  性を一番に考えている。持続可能な開発のための教育の10年には幅がある。 千賀先生の答え: ・地域はテーマによって大きさが変わる。 ・ローカルは、たとえば地球温暖化など、政策的にはつながることもある。 三上先生の答え: ・日本の普通の街だと、学校から見ると学区が地域。 ・隣の地域と必ずしもつながるとも限らないし、離れた国の町とつながることもある。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 最後に 千賀:地域づくりを学びのプロセスにすると、どんどん変わっていく。 植田:教壇経済学に陥ることなくアクションリサーチが重要。     脱クルマの街があることで、それが夢物語ではなくなる。地域で実験し、発信すると     社会が変わっていく。