地域SNSノート01「牧さんの講演から」

8月22日(土)に、第18回スパーリング研究会(http://kilkhor.cc.iwate-u.ac.jp/sperng/)が行われ、兵庫県企画県民部長の牧慎太郎氏の講演を聴いた。 講演の中身の紹介というより、カジパの気になった部分をカジパの言葉で紹介する。  まずは動機から。  時代の流れとして、地域でも職場でも、人の集まりは当初の意味を失い、個人が中心となる集まりでしかなくなっている。会社で泊りがけの忘年会をするところはもうほとんどないし、同僚の個人的な状況に集団が関わることも少なくなった。あるとすれば、慶弔費などの、お金が関係することだけだ。 当然、地域でも同じである。町内会の班長さんは、お金を集めることしか仕事が無い。(カジパの地域です)  でも、人はそれぞれ得意な分野があり、興味の関心がある。得意分野や興味の関心によって、人は地域外の人とも集まれるようになった。それは交通機関の発達や車社会がもたらしたものだろう。 だとすると、地域はいったい何なのか。ご近所さんはいらないのか。(都会ではいらないんだろうなあ) でも、この地で子どもが育つ。とすると、共通したものは、学区か。学区を基本とした「持続可能な開発のための教育の10年」の取り組みをしている地域もある。 なのに、その地域に、さらにSNSを作って人のつながりを作ろうとするのはなぜか。この点が非常に気になって、講演を聴いた。   答えはたくさんあるようだ。答えの一つは、人は何かあったときに人を助けたい、ということ。そのときに、情報メディアは役に立つ。 たとえば、今回の台風9号がもたらした作用町の水害。役場すら水没するなかで、情報はほとんど得られなかった。が、地域SNSに登録している人が、他の地域SNSに、現場から情報を送ってきたのだ。それも、動画と文章で。 作用町のライフラインはめちゃくちゃになり、役場は停電。パソコンは水没して使えない。水道は出ない。電話もまともに使えない。 そんななかで、かろうじてつながっている地域に住む人が、携帯電話で状況を知らせてくれた。が、役場や警察、そしてテレビラジオは、次の日も全く同じ情報を流すだけだった。死者、行方不明者が何人いるのかもわからない。また、どの地区がどういう状態で、何が必要かもわからない。通信リレーの中で、タオルはもういらない、ということになってしまった例もある。実際には、タオルは、地域の被害状況によって異なる時期に必要になるのだ。が、そんな情報はテレビでは流れない。人の知恵が伝達されない情報メディアもあることを知った。 という場面で、結局、人は、ふだんからつながりのある人の言葉を信用して動く存在であることがわかった。なかには、何の検証もしないで、情報に振り回される人もいるが、多くは、あの人が言うのなら助けに行こう、となる。助けに行く、支援をする、という行動の動機には、必ず人のつながりがあるように思う。 それを作るのが、地域SNSだ、ということ。これが今回の講演の収穫だったかな、と思う。