盛岡の気象(講演録)

今日は、ホイッスリングさんに誘われて、鶯宿男助山周辺の天然杉巨木群落を見に行く予定でした。
http://sns.city.morioka.lg.jp/blog/blog.php?key=15816

朝6時半。雨は上がっていました。
朝7時半。雨は上がっていました。
行こうかと悩みましたが、天気図を見ておこうと思い、インターネットを検索しました。すると、どうも9時半頃から雨雲が増えるとの予想でした。10時半、11時半もすごい雨になりそうでした。で、結局は欠席し、今、こうしてブログを書いています。
(今、雷が鳴って大雨になりましたね。カッパを持っていない私は欠席で正解でした。山登りのカッパ欲しい〜)


ところで、私がモリオネットからしばらく消えていた4月24日(金)の6時半から、花見客でにぎわう高松の池近くの盛岡市立図書館で60年も毎月続いている「科学談話会」に久しぶりにお邪魔しました。僕も10数年前、インターネットのお話をさせていただきました。(なぜかホヤの話ではない)

当日の講師は、昨年岩手大学教育学部に赴任した名越利幸先生。今、「学校気象台と地域連携ネットワークの構築」プロジェクトでご一緒している先生です。なんと、岩手大学では初めてとなる気象学の専門家です。それほど岩手は気象に関しては研究が進んでいないということでしょうか。先生にとっては、「やることがいっぱいある」とのことでした。

以下、ずぶの素人なりにまとめた要点を記しておきたいと思います。(ちょっと勉強したものも加えています)

■雫石に見られるフェーン現象
風が高い山に当たると上昇気流となる。そして冷やされた空気は水を含むことができなくなり(飽和水蒸気量が小さくなる)、山の中腹から頂上にかけて雲を作る。また、一部は雨となって降る。このとき、雲を作るまでは100m上がるごとに空気は1℃冷やされ、雲の中では空気は100m上がるごとに0.5℃冷やされる。

また、山を越えた空気は山の斜面を下ってくる。そのときには空気は乾き(飽和水蒸気量も増えるのに水蒸気がないから)、100m下がるごとに1℃上がる。

この差により、西風が奥羽山脈から降りてきたときに、その風は山を越えるときよりも温かく乾燥し、雫石ではフェーン現象が見られる。
※実際には、空気塊の温度による湿潤断熱減率の違いや、放射冷却などもあるので、気温上昇はそんなに顕著ではない。

逆に、ヤマセ(東風)が吹いたとき、岩手県の太平洋側では冷涼で雲の多い天気となるが、奥羽山脈を越えて秋田側に降りる風は温かくなる。このことにより、秋田は暖かく乾燥し、天気も良いので豊作となる。そのことは昔の人も知っており、田沢湖町には、宝風橋と呼ばれる橋がある。

■盛岡は狐の嫁入り(お天気雨)が多い
上記の奥羽山脈を越えてきた空気塊は、そのスピードにもよるが、バウンドするようにもう一度上昇し、盛岡と雫石の境あたりで雲を作り、そこに雨を降らせる。このため、盛岡ICあたりを境に、盛岡では晴れ、雫石側は雨、という現象がしばしば見られる。この空気塊は、再度下降し、盛岡では晴れているのに、風によって飛ばされてきた雨粒に当たることがあり、これがお天気雨と呼ばれる。このとき、西の空を見ると、山の上と雫石との境の上空に別々に雲の下端が見えることがある。

■藪川が寒いわけ
藪川は標高680m。盛岡は標高155m。この差は680-155=525m。これで考えると、盛岡と藪川との気温差は単純に5.25℃となるはず。しかし実際にはものすごく藪川のほうが寒い。これはおそらく岩洞湖のせいだろう。なぜなら、そこに周囲の山から下りてきた冷気が溜まるから。水が溜まるところは周囲より低いということなので、冷たい空気もそこに溜まるということである。

■盛岡の気象の変化(最低気温と霧)
盛岡の最高気温や降水量は、30年間ほとんど変わっていない。が、最低気温はどんどん上がっている。これは、盛岡市の地面がどんどんアスファルトになって、水蒸気供給量が減り、蒸発熱が奪われることがなくなったせいで温度が下がらなくなったからではないか。

いっぽう、盛岡市の霧日数は半減している。霧は湿度の高いときに気温が下がると発生するが、これも水蒸気供給量の減少と関係がある。全国的に見ると京都は30年前は盛岡と同じく一年に30日前後の霧が発生していたが、今は0日である。

■気温の測定(GPSを使って)
今は、8000円で小さなGPSが買える。これを使ってコンピュータ処理すると、盛岡市ヒートアイランド現象がわかる。やはり県庁周辺が暖かく、市民病院や市立高校のあたりが特に寒い。

今年度は「学校気象台と地域連携ネットワークの構築」プロジェクトで、市内の学校に気象観測装置を付けさせていただき、データを岩手大学に集めて盛岡市の気象をリアルタイムでWebで配信する予定である。

■飛行機ぐもり
以前いた町田市は、くもりが多かった。それは、上空を一日に280機も飛行機が飛ぶから。その飛行機雲が消えないで広がり、それが核となってどんどん雲ができるから。飛行ルートが変わった今では、より北までこの現象が見られる。これを飛行機ぐもりと呼んでいる。
盛岡でもあるかな〜?どうかな〜?
いろいろと物議をかもすようなので、発表は自粛しているとのことでした。

このあと、8時過ぎから、私も夜桜見物客となったのでした。ちゃんと学生が迎えに来ていました。
でも、めっちゃ寒かったです〜。(笑)