津波の波の高さはいつもの2倍で

私も勘違いしていたのですが、ふだんの波高と、津波のときの波高は、測定方法が異なるのだそうです。(津波は潮位計で。他の波は波高計で)  ここで知りました。http://sc1.cc.kochi-u.ac.jp/~mako-ok/nankai/higai/tunami/nami.html  たとえば、ふだん、あるいは台風のときの波高は、波の山と谷の高低差を言います。波は、そのときの潮位(満潮とか干潮で変化します)を中心として山と谷を作るわけです。 が、津波のときの波高は、平均海面からの高さを言います。つまり、潮位と同じ測定方法です。つまり、潮汐表を見ている人にとっては、満潮の潮位を見るのと同じ感覚です。 これらを考え合わせるると、3mの波を台風のときに見てどれくらいか覚えている人は、津波のときにはその2倍の高さを想像しないといけない、ということです。 これを今回の事実にひきつけてみると、釜石では午後3時頃に満潮になり、そのときの潮位は133cmです。潮位は平均海面からの高さで表されています。今回は3m以上の津波が押し寄せるということですから、もし3時に一番高い高さになるとしたら、この潮位の2倍以上の高さには海面が上がる、ということです。  そればかりか、津波は、波長が長い波なので、数十分、海面の高い状態が続きます。 いったん堤防を越えると、あとからあとから海水が押し寄せてくるので、どんどん水が入ってきて、水浸しになります。そして、一気に去っていく。このときに、いろいろなものを沖に流してしまいます。  3mの波高がどこで測られているのかわかりませんが、リアス式の湾の沿岸では、海底は深いところから急に浅くなっています。 津波の波は、その地域の海水量が増える、という感覚で捉えたほうがわかりやすいので、そう考えると、後ろから海水がどんどん押されて海岸に押し寄せるわけですから、行き場を失った海水は空中に競りあがるしかありません。したがって、海岸では沖合いの3mの波は、ものすごく高くなって海岸を襲う、ということです。  実は、数年前に、山田湾の津波についてうかがったことがあります。山田湾は、牡蠣の養殖が有名で、日本一の品質の牡蠣を出荷しています。 この牡蠣を養殖している筏は、海底に置いたアンカーからロープで固定しています。ふだんは、満潮の高さに合わせていますが、台風のときには、少し長く調節します。が、台風の波は、潮位を中心としてゆれているだけですから、引っ張られるところとたるむところができるので、そんなに怖くはないそうです。 それに比べて、津波の場合には、潮位が数十分で急激に上がったり下がったりすることなので、筏全体が一気に持ち上げられる、ということになります。そうすると、固定ロープの長さをかなり余裕を持たせていなければ、筏やロープが破損することになります。 破損した筏は、湾内を漂います。というか、海岸に打ち寄せられて、そこで海岸のいろいろなものとぶつかることになります。 これほど、台風の波と津波の波とは違うのです。 僕の研究用のホヤロープも、山田町の大沢にある水産センターの筏から吊るしてあります。素人の僕が行くのは迷惑になるので、お世話をしてくださる方々の安全を、内陸からお祈りするしかありません。 数年前の津波では、波高が数十センチだったのですが、研究用の筏は破壊されてしまいました。