自転車の交通ルール、マナーを考えるフォーラム

これはもう自転車に乗る人だけの話ではない。

今日午後1時半から、パルクアベニューカワトク7Fロイヤルルームで、岩手県立大学総合政策学部と盛岡自転車会議が主催の標記フォーラムが行われた。

岩手県立大学のちゃばさん(マイトモダチ)が司会(おそらくほぼ全部?)で、自転車交通のあり方について考えた。

以下、僕の勝手なまとめです。
すみません、あんまり正確ではありません。


まず、ちゃばさんから、問題提起として朝の1時間、盛岡市某所での自転車の走行についての調査報告があった。

■3mの歩道がある場所である。
 ・歩道走行 92台
 ・左側走行 62台
 ・右側走行 32台
この数字を見てどう思われますか?
自転車はいったいどこを走るものなのか、まったくバラバラですよね。ルールはどうなっているのでしょうか。

■山中さん(徳島大学教授)
自転車の価値を考える国際会議から帰ってきたばかり。
・自転車の価値とは、、、。
  1)環境・・・・・・地球
  2)ピークオイル・・エネルギー
  3)経済・・・・・・街の活力
  4)健康・・・・・・人々のため
会議の一致点は、環境と健康を重視した持続可能な交通を提供する道路交通法を目指す、ということらしい。そのために、各国の交通法を比較する研究が進行中らしい。
・環境と健康の両方を大切にしたい人は高齢者に多い。ということで、高齢者を自動車から自転車に戻すことを重点とする。
以下、日本の自転車交通行政の問題点
・自転車が走っても良いという歩道を走る場合、車道側を走るのが原則になっているが、ご存知?
自転車道を作った場合、交差点での走行が交通法と整合性が取れなくなる。(よくわかりませんでした)
・自転車がどう走るかを示す情報伝達の問題が未整備。

■南幅さん(盛岡市建設部交通政策課)
盛岡市は実験をしながら自転車条例を作った。(平成20年月)
・アンケートをとると、高校生の自転車交通マナーが悪いとの指摘が多い。
・自転車走行帯を青く塗って社会実験した。ブルーゾーンという。その結果、歩道を走っていた自転車がブルーゾーンを走るようになったが、逆走する自転車も増えた。
・駐輪場を増やしたら違法駐輪が減った。
・通勤用レンタサイクル「勤太郎」は低調であった。(広報不足?)

■浜岡さん(秋田大学准教授)
事故パターンのうち、多いのは次の2つ。
  1)右側通行の自転車が、右折車に巻き込まれる。
  2)右側通行の自転車が、幹線に出る車と衝突する。
2の対策案として、歩道の宅地側の端っこに段差を作り、そこを自転車が通りにくくする。
つまり、狭い道路から広い道路(幹線)に出る車からは、ビルなど(宅地)が邪魔になって、ビルに近いところを走って目の前を横切る「右側走行自転車」は見えないので、交差点の近くではそこを通りにくくするために、段差やポールなどを置くことで事故を防ぐことができると考えた。

■元田さん(岩手県立大学教授)
建設省にいたが、建設省は自転車のことを考えて道は作ってこなかった。ただし、自転車専用道路は少し作った。
自転車道の歴史を見ると、昭和13年に、板橋区で25mの道の歩道と車道の間に3.5mの自転車道を作り、それぞれに段差を設けた。
昭和45年、交通事故を減らすために自転車は歩道を走って良いという道路交通法を作った。これが混乱の元。
平成12年、交通バリアフリー化に伴って、歩道を走りやすくした。これでさらに混乱した。
自転車道を示す方法にはいくつかある。
  線を引く。マークを書く。ポールを置いて分離する。色分けする。
  標識を作る。バスレーンを使う。縁石で分ける。などなど。
・自転車用信号を置いている国もあり、日本は日本の交通事情に合わせたルールを作るべき。しかし、ローカルルールもあり、なかなか統一は難しいように思う。
・結局、自転車道の整備とルールの徹底しかないように思う。

■聴衆との意見交換
・歩道は安心だが、よく考えると危険なので、安全ではない。一方、車道は怖くて安心できないが、よく考えると安全。
・自動車運転者の意識が低い。また、更新講習のときに、教則本を見ても自転車に関することが書かれていないのは問題。
盛岡市内に、歩車分離式の信号があるが、自転車はどれに従えば良いのか。これが統一されていない。
・T字路を、車の信号に従わないで走る自転車があり、横断歩道を渡る歩行者と交差するので危険だ。このとき、交通指導員はどのように指導すべきか。
・盛岡や秋田では車に乗る人が多いので、自転車に乗ったときにも車の目線でどうすべきか想像できる。が、都会では道路交通法に無知な人がそのまま自転車に乗るので危険。

最後に、ちゃばさんが、北東北からこの問題を盛り上げて生きたい、との締めくくりをされました。

■僕の感想です。
いろんな問題が複雑に絡み合っていることがわかりました。
たとえば、道路交通法は、現状を見ながら付け足して作ってきた法律なので、整合性のとれない部分があり、その中でも自転車は、自転車乗りにも歩行者にも車の運転手にも、どのように走るのか理解されていない部分があり、加害者にも被害者にもなりうる非常に危険な存在になりつつあります。
が、持続可能な社会を形成するためには、少なくとも自動車より自転車を優先する交通体系を作り直しても良いと思います。
マナーを言う前に、システムの整備、法律の整備が必要なような気がしました。
でも、現在決められている「左側通行」は最低でも守らないと、自分も人も傷つけてしまい、ひどいときには死人が出ることもわかりました。というか、すでにうちの学生の例でよく知っているのですが。