認知症さん - カジパのノート

明日から、岡山の実家に帰省してきます。実家には、認知症の母が一人で住んでいます。親戚の間では長年女帝としてふるまってきた彼女は、認知症でさらに磨きがかかり、今では誰も訪ねてくれない状態になり、娘である妹とも、死ね、殺せ、の格闘をやって以来、やり取りがなくなっています。まあ、死ね、殺せ、は、気に入らないとすぐに言うので、普通の風景ではあるのですけどね。アルツハイマー病の認知症なので、どの本にも書いてある通りです。物忘れがひどく、物をなくすのですが、それが人のせいになります。前にお世話になっていたヘルパーステーションは、毎日日替わりで別の方が来てくださるので、彼女にとってはそれが不安で、帰省時によく見ていると、夜中に起き出しては自分のかばんや財布や貴金属をあちこちに隠していました。それらの行為を、次の朝にはすっかり忘れてしまうのです。そして、ヘルパーさんが盗んだと。その前は、来る人来る人、すべてが泥棒になりました。なので、とうとう誰も来なくなりました。いったん彼女と会うと（会わなくても）、泥棒呼ばわりされてしまうからです。警察にも何度も電話をしています。（警察も大変です）携帯電話も何台もあるようです。（無くなったと言っては別のものを借りています）車の鍵も、家の鍵も、たくさん（車の鍵は２万円しますね）作っているのですが、ことごとく「盗まれ」ます。一度は、コンガ（股に挟んで鳴らす太鼓）の中から出てきました。財布などは、ずっと同じものを持っているのですが、毎日「無くなった、盗まれた」と電話をしてきます。家には、「ここから入るな」などと張り紙があちこちに。入ってきて盗まれると思っているのです。でも、入ってきて数千円の化粧品を勝手に置いていく女性はスルーなのです。置き薬もスルー。デイケアには週に３回行っています。放っておくと、着替えも入浴もしなくなるからです。ヘルパーさんには毎日来ていただき、料理を作っていただいています。その他買物とゴミ出し。これらは点数化されて請求されます。買物は、預かり金として前渡しをしています。やっと落ち着いていたのに、１１月からはテレホンショッピングです。どんどん物が家に運ばれてきます。そのたびに、ヘルパーさんが断って送り返しています。まだ認知症になる前は、うちの音楽教室で行う発表会のチラシを入手した広告業者が、新聞に広告を載せた、と言っては数万の請求をしてくるので困りました。しかも同時に７社から来たりするのです。もしかしたらこれも母が依頼したのかもしれません。なんと言っても、彼女はそんなことは忘れているのですから。そして、自分が処理しようとしないのです。まずいことは人にやらせる。。。昔からそうなのだけど。ということで、帰省してまずやることは、置き薬代と化粧品代を支払って、付き合いをやめること。それから、今警察に出している、玄関の傘立て盗難の被害届をどうするか決めること。刑事さんに来てもらわなくてはなりません。あとは、やっぱり成年後見制度の利用申請を進めなければなりません。人間って、物を忘れるだけではここまでにはなりません。忘れた原因を、常に人のせいだとするからこのようになります。それに輪をかけて、自分ではそれは処理できない、ということ。そして、自分の能力が落ちたことが理解できないこと。明日はわが身だと思っています。が、その前に、実は妻にもそろそろその傾向が。家族３人で話したことも、翌日にはすっきりと忘れています。多くは夜お酒を飲んでいるときと朝とで全く違うことを言うので気づいていたのですが、危ないかもしれません。多重人格までは行かないと思うのだけど、夜（というか酒飲み）と朝とでは人が違います。これはどのように捉えればいいのかな。進行を遅らせることはできるのかな。彼女もまた、職場ではなかなか働きにくいようではありますから、僕の感触もそんなに的外れでもないのでしょう。言い方は悪いのですが、壊れていく人格をどのように支えるのか。そういう現実に直面するときが来つつあるのだろうと思っています。そういっている自分にも、実はそのときが来ているのかもしれませんが。